帰りの電車の中、流れる夜の景色を見ながら、愛都が力なく呟いた。


「・・・・・・今日、一回もボール触れなかった」


「いいじゃん。おかげで補習プリント終わったんだし」


「ココちゃんは午前で終わらせたからいいけどさあ、俺なんて一日いっぱいだよ。数字見ただけで吐き気するよお」


「それにしても愛都は、よく嫌いな内野コーチとずっと勉強出来たね」


隣にいた友梨が、愛都をからかった。


「ああ・・・うん・・・・・・」


愛都は唇を尖らせながらだったけれど、それでも納得しているような表情で、戸惑いながらも頷いた。