その時、黒さん…いや、黒さんことバスケ部の顧問、小塚雅（こづかまさし）先生と目があった。


日に焼けたのかと思うほどの、黒い肌。

眼鏡の奥に見えるギョロリと大きい目。

髪の毛は所々白髪が交じっているのだが、シャツから覗く腕は筋肉で引き締まっていて、とても５０代には見えない。


黒さんが練習を見ていたステージから降りて、私の元へやってきた。


「おー。お前が宮瀬か。友梨から話しは聞いてるぞ」


小塚先生は私を見上げて、ニコっと微笑んだ。

優しげな笑顔。

そして私より小さい身長。


噂に聞いてたよりも怖くないのかも。


「お前、背でかいなあ。いくつあるんだ？」


「１７２センチあります」


「ほー……」


小塚先生は一歩身を引いて、私のつま先から頭までをマジマジと見つめた。