黒さんはしばらく考えた後、私に向かってこう言った。


「まあ、俺の口から言うもんじゃないし、言わなくてもいいことかもしれないな」


「なんですか?それ。そんなこと言われたらすごく気になります」


「ハハッ!気になって欲しくていったんだ」


「え?」


「内野は、どうやらお前に弱いみたいだからな。宮瀬になら自分の弱い部分を話すのかもしれないと思ってな」


「弱い部分?」



一体どういうこと?



あんなに自信満々な内野コーチに弱い部分なんてあるの?


腑に落ちないまま昼休み終了のチャイムが鳴ってしまい、私はその後の授業にほとんど集中することが出来なかった。