「いえ、ただ私は教えてもらうなら、内野コーチがいいんですって言っただけですよ？」


「・・・・・・なるほど」


黒さんは、私の言葉にウンウンと頷きながら深く納得しているようだった。


「内野コーチ・・・コーチを辞めようとしていたんですか？」


「ああ。お前を傷つけたって、後悔してな。俺も結局同じことしてるって、そう言ってた」


黒さんは、静かにコーヒーをすすりながら、深いため息をついた。


「え？俺も同じことってどういうことですか？」


「あれ？宮瀬は何も聞いてないのか？内野のこと」


「内野コーチのこと？・・・・・・いいえ。何も」


「そうか」


黒さんは少し気まずそうに視線を泳がせた。