「どうしたの?吉良くん?」

「ここにいて」

見開かれたキミの大きな瞳に映る僕の顔は、まるで夢を見ているかのようにぼんやりとしていた。

「え……?く、薬とってくるだけだよ?」

「離れないで」

掴んだままの彼女の小さな手を、自分の頬に持っていく。熱があるから、彼女の手が冷たく感じる。ひんやりと頬を冷やすその手は、まるでガラスのようだった。強く握ったら壊れてしまいそうだ。

ゆっくり体を起こして、俯いている彼女の顔を覗き込む。

「吉良……くん?」

白い頬を濃い桃色に染めて、上目遣いに見られれば、もう我慢出来なくなる。

ぐい、と強引に抱き寄せると、キミはいとも簡単に僕の腕の中に収まった。心臓の音が重なる。

「吉良く……薬飲まなきゃ……」

「うん、飲む」

「じゃあとってくるから待っ……」

「あるよ、薬。ここに」

首を傾げたキミを、抱き締めたままベッドに引き込む。

「キミが僕の薬だから……」