吉良くんの眉が下がる。困ってる時の彼の顔が、1番綺麗。眉間にしわを寄せて、白く小さな歯で下唇を噛む。見惚れてしまうくらい、色っぽい。

「ごめん……そんなに嫌だった?」

吉良くんの白くて長い指が、私の前髪を優しく掻き分ける。

「違……」

「じゃあどうして……」

「吉良く……熱あるし……酔ってる……から」

「は……?」

わけが分からない、といったような表情。怪訝な顔をして小首を傾げる。

「どういうこと?」

「吉良くん……今日、おかしいから……。やっぱり……勢いで、こんなことしちゃ……」

最後まで言い終わらないうちに、荒々しく唇を塞がれた。

「心外だな」

風邪のせいなのか、いつもより低く掠れた吉良くんの声。

「キミは、僕が勢いで抱いているとでも思ってたの?」

吉良くんの唇は私の首筋をなぞり、そのまま耳に辿り着いた。熱い吐息がかかる。それだけで頭がぐらぐらしてしまう。

「なら、分からせてあげるよ」
僕がどれだけキミを想っていたか。

そう聴こえた後、さっきよりも強い力で抱き締められた。

壊れてしまいそうなくらい激しいのに、泣きたくなるくらい優しい抱き方。