「って感じで、二人も友だちができちゃったの!」

さっそく、その日の夜、ご飯を食べながら駿河くんとかなでに報告をした。

「二人は幼馴染みなんだって。それでね、苗字だと堅苦しいから名前で呼ぼうってことになって。私は円香ちゃんと隼くんって呼んで、二人はあいりちゃんって呼んでくれるの」

「よかったね。これから学校がもっと楽しくなるね」

「うん!」

駿河くんも一緒に喜んでくれて、ますます嬉しくなる。それなのに、かなでは面白くなさそうに意地悪を言ってきた。

「あんま調子に乗んなよ」

「ちょ、調子になんて乗ってないよ」

「乗ってるだろ。あいりのバーカ!」

「やめなさい、かなで。いまどき小学生でもそんな拗ね方しないよ」

すっかり呆れてる駿河くんに、かなでは舌打ちをした。人として、それはダメ!

「かなで、駿河くんに謝って」

「ヤダ」

「謝らないと明日のハンバーグはかなでの分だけお豆腐で作っちゃうからね」

「駿河さん、ごめんなさい」

その変わり身の早さといったら。かなでにとって世界で一番大切なのはお肉なのだ。駿河くんは「単純だなぁ」って笑い出した。優しい駿河くんは、どんな私たちも受け入れてくれる。



嬉しいこともあったし、お母さんに電話することにした。インターネットのテレビ電話なら料金を気にしないで話せる。かなでも誘ったのに、「オレは別に話すことないからいいや」ってお風呂に入っちゃった。駿河くんは晩ご飯のあとお仕事の電話がかかってきたみたいでお部屋で探し物をしてる。しかたなく、一人でリビングに置いてある共用のノートパソコンを立ち上げた。

「はいはーい。久しぶりね、あいり」

画面越しに手を振るお母さんは、あいかわらず元気そう。日本より暖かいのか、もうタンクトップを着てる。

「お母さん、今からちょっとお話してもいい?」

「いいよ。もうすぐシエスタだから」

「しえすた?」

「長いお昼休みのことよ。働いてる人もみんなお茶したりお昼寝したり、ゆっくり過ごすの。お店も閉まっちゃうのよ」

「おもしろい!日本とぜんぜん違うんだねぇ」

のんびりしたお父さんとお母さんにぴったりの国みたい。いつか私も行ってみたいなぁ。

「それで、何かあったの?ずいぶんニコニコしちゃって」

「えへへ。あのね、じつは今日……」