ちょうどその最中だ。



坂の向こうから、夕日を背に、誰かがゆっくり自転車でやってくるのが見えた。




互いに距離が縮んでいくと、黒い影に隠されていた容貌が明らかになる。




僕はハッと息を飲む。




僕が自転車を降りると、相手も足をついて自転車を止めた。


涼しげな目に、少し焼けた肌…。




「……卓海………」



思わずそう呟いた。