これ以上の面倒事を避けようと、人気の無い所ばかりを狙って走っているのも限界だった。

 赤髪の男が、人の気配を察して、去った事を考えると……

 僕は、凛花を抱いたまま、くるりと身を翻すと、体育倉庫に向かって、走り出した。

 警察の関係者が、現場に来るのに、単独行動は、有り得ない。

 最低でも、穣刑事の他に、一人ぐらいは、いるはずだ、と踏んだのだ。




 どどどどど……!




 音も無く、飛ぶように走る僕の後ろから、土の小山が迫り来る。






 目指せばすぐに、体育倉庫の入り口が見えた。

 案の定。そこには、見ず知らずの刑事らしき男が二人。

 穣ではなかったが、それは、この際どうでも良かった。