穣は、立ち入り禁止だと言ったが、どうしても、体育倉庫を調べてみたかった。

 見張っている刑事をやり過ごそうと、帰るふりをして、そこらを散歩することにした。


 しばらくすると、林の中で、はっきりと気配がした。

 今度は、判る。



 ……人だ。




 また、あの刑事とはちあわせしたのか。

 そう、おもえるほど。

 似た気配は、やはり、凛花だった。

 彼女は蒼白な顔をして、校庭を囲む林を走って来た。




 ……誰かに追われているのか?




 張り出した木の根に足をとられながら、こっちに向かってくる。