「俺、寝る」




低い声でそうボソッと呟いた彼――…真白さんは、目を擦りながらゆらりゆらりと教室の奥へと進んで行き、

ドサッという音を立てて、フカフカの椅子にもたれ掛かかった。






そんな様子を見て、本条くんは軽く笑いながら溜め息を吐く。



「……ったく。大して仕事もしてないのに毎日お疲れだな、"会長さん"は」







全くだ、と思う。









――…そう。



この教室は校長室でも応接室でもない、紛れも無く私達生徒の教室。



いわば、生徒会室ってやつで。





此処にいる本条くんと私は、生徒会役員。



私達を含め計10人弱はいる生徒会役員が、この教室でより良い学校作りのために日々仕事をしている。






そして……、

フワフワ椅子の上に脚を乗せ、丸まった姿勢で寝入っているこの人が――


我が高校の生徒会長こと、一宮真白(イチノミヤ マシロ)さん。



成績は常に学年トップだし、容姿もどこぞのアイドルグループみたいに綺麗だし。




完璧な彼だから、さっきみたいに女の子達のファンも少なくない……


いや、少なくないどころか、ファンクラブが3つもある程の大人気だったりする。