どれだけの時間が経過したろうか、あたしは何とか無事でいられている。

『んぅ…?雨が降ってきたのかしら』

辺りのゆがみから外の様子を伺うと、周りは真っ白でどうも大雨が降っている気配もする。
真っ白なのは凄い勢いで水蒸気が立ち上っているかららしい、今解いたら一気に蒸されておいしい料理になってしまうだろうなぁ。
大雨が辺りの大地を冷ましてくれて助かった、水蒸気が落ち着いたのを見計らってあたしは恐る恐る周囲に展開した現象を解除してみた。

あたしの使ったあの現象、土と水と氷の魔法を組み合わせ、いくつもの工程を得てやっと引き起こせる重力波を更に加速させ、別の次元の膜を開くというもの。
研究しておいて使い所に困ってたけど、こんな場合に役に立つものだとはね。

『生暖かい雨だねぇ、シャワーにさせてもらおうかしら』

あたしは髪を解いて、気持ちいいシャワーを浴びた。
辺りは最初から何もない原っぱだったけど、更に何もない焼けた地面だけになっちゃった。目標物だったあの木もないよ。


「まさかとは思いますが…、そこに居るのはスフェーンさんですか?」


声がする方向を見ると、そこにクリーダが信じられないって顔して立っていたよ。
目を丸くして口を半開きにして、珍しいものでも見る様な顔ね。いいじゃない、そういう顔って見るの大好き。


『あらぁ?戻って来たのぉ?』

「ずっとそこに居たのですか?」

『うん、そうだけど?』

「4億度です」

『はい?』

「あの爆発の中心温度は4億度もあるのですよ」

『ふぅん、そうなの、為になる事いうのねぇ』

「クッ…」


アハッ!いいねーいいねー!クリーダったらすっごい悔しそうだよぉ!
多分さっきのがクリーダの最強の魔法なんだろうね、それをあたしが耐えたもんだから精神的に相当なダメージ受けたんじゃなーい?