後ろに手を隠していたクリーダが、その手を前に指し出した。


『あら、あなたなに持ってるの?』

「精霊魔法を核とした、最終的に核融合に至る光の玉です」

『…かく?ゆうごう?』

クリーダってたまに意味の分からない事を言うのよねぇ。

「わたしのとっておきです、スフェーンさんにプレゼントします」

『いらんわーーーッ!!』


クリーダがあたしに向かってふわりっと放り投げた光の玉が、空中で物凄い勢いで膨張し始めたよ。
あたしがいるとこが着地候補だから、少し距離とって避けたら地面に落ちたけど…これってきっとただ事じゃないよねぇ。
見る見るうちに数十メートルの大きさに膨れ上がってた。

『えっとークリーダは?』

あらら、遠くの方に点になって見えるのがそうかも。これはあたしも逃げないと…。
そう思ってる間に巨大な火の玉は真っ赤に変色し、殆ど大きさの変化が見られない状態になって行った。

『うひ…?』

その時、光の玉の天井が崩れ始めたのが見えた。

『こ…これは…ッ!巨大な爆弾なんじゃないかーーーッ!?』

だとしたら、絶望的な熱と衝撃波が発生するんだろうね、威力はあの乗り物との距離で大体分かるから。
あたしはこの状況を打開する方法を、頭の中をひっくり返す勢いで探してみた、そしたらたった1つだけ方法を見つけたの。

それは、土と水と氷の魔法を組み合わせ、特定の工程を得る事で引き起こせるあの現象…!


『さぁッ!どっちが強いかしっかり見てなさいッ!』

だけどそれがうまくいくかどうか分からなかった、何しろあたしの周囲全てを隙間無く覆う必要があるかなーり難易度が高い方法だから。
同時に最低でも4つ、つまり三角錐の形で展開させなければならない、少しでも隙間が空いていたらまず助からないだろうーねぇ。


巨大な火の玉に閃光が走ったその瞬間、あたしは周囲全てにあの現象を発動させた。

あたしの足元の地面が蒸発する様に消えて行く…成功だ!後は風で姿勢を制御しつつ最後まで耐えるのみ。
4つも同時展開してるからかなりの魔力を消費するなぁ、最後まで魔力はもってくれるかなぁ。
展開した現象はギリギリの所でもっている様だ、周囲がゆがんでギシギシと音を立てている。