「おめでとう。」


加尾ちゃんはそう言って笑ってくれた。


そんな日から一ヶ月。


「紅葉ー!!」

「龍馬!?」


付き合い始めてからもう一ヶ月経つというのに二人の関係は前のままのような気がする。

何も進展がない。


「紅葉聞いとぉせ!!江戸じゃ江戸じゃぞ!!」

「江戸!?何が!?」


龍馬の口から江戸なんて言葉が出るのは初めてだった。

将軍のお膝元と言われる江戸。

龍馬の目は何故かきらめいていた。


「わしな・・わしなぁ。」

「何よ、龍馬。」

「わし、江戸に行くがじゃ。」

「はぁ!?」



江戸に行くだなんて急に言われて「はい、そうですか」なんて言えるわけがない。



「意味がわからないんだけど・・。」

「わしな、剣の修行の為に江戸に行く。」

「い、いつ?」

「・・・明日。」

「な・・・!!」




「なんでそんな大事なこと言わなかったのさぁぁ!!!」



アタシの怒号が空に響いた。