そして、私は母が丁寧に小鳥を手当てしているのを黙って見続けた。


「しばらく…傷が回復するまでは、育ててあげましょうね」

「うん…」

傷は、思ったよりも浅くて…小鳥は段々元気になっていった。


2週間が経ったある日のこと…。
小鳥は、すっかり元気に回復していた。


「やだ…!!」
「咲良、ワガママ言っちゃいけません」

私は、泣きじゃくっていた。
いつも優しくしてくれる母が、その時だけは恐い表情で応える。

「この小鳥はね、ペットと違うのよ。野生なの。怪我して一時的に保護するだけならいいわ…だけどね、このままずっと飼うことは出来ないのよ?」

母の気持ちも分かっていたが、私はその時は、まだ子供で…。

「やだやだ…、ピーちゃんと離れ離れになりたくない」

ブンブンと、鳥かごを抱きしめて私は首を降り続けていた。

「ピーちゃんだってね…家族の所に帰りたいはずだよ。咲良だって、パパやママに会えなくなるのは嫌でしょう?」


私は、泣きじゃくりながら…「うん」と頷いた。

「咲良が、そう思うように…ピーちゃんだって、パパやママが居るの」


私は、鳥かごを開けるとピーちゃんは、バサバサと窓から外に向かって羽ばたいて行った。

「ピーちゃん…元気でねぇ……」