ふと、目を覚ますと…朝だった。


私は、泣き疲れて眠ってしまったらしい。
「ふぅ…」
何となく、溜め息を吐く。

《コンコン…ガチャ。》
「咲良…起きてる?」

「…うん、今起きた所よ」
ボンヤリと、葵を見つめていた。

「…眠そうだね」
「うん」

「昨日…泣いたでしょ」
「うん…え?何で知ってるの」

「だって、目が腫れてる」
そう言って、私の瞼にソッと触れる。
葵の指先が、とても暖かかった。

「ごめん」
ポツリと呟く、葵を見て泣きそうになるのを必死でこらえた。

「謝るくらいなら、此処に残ってくれる?」
「……それは…」
口ごもる葵を見て、私は「冗談よ」と、心にも無いことを呟く。


嘘よ…本当は、一緒に居たい。
だけど、これは私のワガママだから…。


「…今日は、日曜日だね」
「そうね」

「天気が良いから、散歩に行こう」
彼は、そう言って微笑んでいた…。