まさか…。

雀2羽は、その声に気がついたかのようにスゥー…と葵の手のひらに、ちょこんと止まった。

「母さん、父さん会いたかった…。」

《チュンチュン…チュンチュン》
「ごめんね…え?、許してくれるの」

《チチチ…》
「そう…うん、分かってるさ」

《チュンチュン…》
「…うん、じゃあね。」

葵がそう言うと、バサバサ…と空高く飛び去って行った。

「父さんと母さん…会えたよ」
「そう…」
私は、それ以上何も言わずに微笑んだ。

「父さん達、僕が人間になったこと許してくれたよ…。」

《お前は、父さんと母さんの子供だ。それは、人間になっても変わらない…。お前が決めたことだ。これは、最初から決められた運命だったのかも知れないな…。私達は、いつまでも見守っているからな…》

「……って、父さん達が……っ」
今まで、こらえていた涙が溢れて、頬に伝い落ちて行く。

子供のように、泣きじゃくる葵を見て私は、見ていられなかった。

胸が、キュンと締め付けられるように痛んだ。

私は、思わず葵を抱きしめていた。
「大丈夫だよ…私が居るから」

「うん…」


「…おーい、さーくら……あ、」
タイミング悪く、明徳と沙羅が目の前に現れた。
私達は、抱き合ったままの状態で2人を見つめていた。

「な、……な…なんだよぉぉ!!!ちくしょぉぉぉ〜!」

明徳の叫び声が、近所迷惑になったのは、言うまでもない…