「いってらっしゃい〜!…僕は、ママさんのお手伝いして、咲良の帰りを待ってるからね〜」

玄関先で、葵は私達に大きく手を振っていた。

「いってきます」
ニコリと微笑んで、手を振り返す私を、明徳は恨めしそうに睨みつけていた。

「なんだよ…アイツ、主夫みてぇ」
ボソリと皮肉めいた口調で、口を尖らす。
「あら?…最近は、男性でも家事とかこなせなきゃ駄目なのよ」
私は意地悪く、フフッ…と鼻で笑ってやった。

「…くっ…、やっぱり葵が良いのかよ」
ちぇっ…と、そっぽを向いて遠くを見つめていた。

「別に、そんなんじゃないわよ…?」
ねー…と、言わんばかりに沙羅と顔を見合わせて、クスクスと笑う。