《ガラッ…》

｢あら、お疲れ様｣
煙草をふかしながら、須藤先生はニッコリ微笑んでいた。

｢咲良〜！お疲れ様ぁ｣
元気そうな葵を見て、私はホッとした。

｢葵…遅くなって、ごめんねぇ｣
｢平気だよ。須藤先生とのお話、楽しかったし｣

｢私も、楽しかったわ。又、いらっしゃい♪月島君なら、いつでも大歓迎よ｣

｢先生、ありがとうございました｣
ペコリと会釈をすると、
｢いいのよ。私も暇潰しの相手が出来て良かったわ。来宮さん、何かあれば、来てちょうだい｣

｢はい、失礼しました｣

保健室を出てから、私は言った。

｢お腹空いたでしょ？｣
ゴソゴソ…と、鞄からパンを取り出して、葵に渡した。

｢長い時間、待たせた御礼よ。食べて｣

葵は、パンを持ったまま食べようとはしなかった。

｢もしかして、食べれない？｣
心配そうに聞くと、すぐに返事が返って来た。

｢ううん…咲良も、一緒に食べよう？｣
｢え？私は平気よ｣

｢僕は、咲良と一緒が良いんだ｣
そう言われると、断れなくなって仕方なく頂くことにした。

｢じゃあ、半分こずつにしようか？｣
葵は、嬉しそうに｢うん｣と頷いた。