「ねぇ…月島君と来宮さんって仲良いけど、もしかして…付き合ってるの?」


ボソッ…と、柿崎が歩きながら呟く。

「え…!?違うよ」
私は、ブンブンと首を左右に振ると、柿崎が、「…それならいいんだけど」…そっぽを向いて答えた。

キョトンとして、見つめていると「そんなに、見つめないでよ…照れるから」
耳まで、真っ赤にしている柿崎が私の目に映った。

柿崎って、こんなタイプだったっけ?
意外な一面を見つけて、私は嬉しくなり微笑んでた。

「なっ…笑わないでよ」


一方、葵と言えば…

「月島君は、来宮さんのこと、好きになったりしないの?」

「え?」
須藤先生の意外な言葉に、葵はキョトンとする。

「ホラ…来宮さんのお家で居候してるんでしょ?…やっぱり、同じ屋根の下で住んでるんですもの、お互いのこと意識したりしないのかなー?ってね」
悪戯っぽい笑みを浮かべて、葵の反応を見るのが、楽しいみたいだった。

ーそうだった。僕は、咲良の居候ってことになってるんだった…何とか、話を合わせなくちゃー

「そうですね…咲良は、可愛くて優しいけど、僕は……良く分かんないです」

素直な気持ちを述べた。
本当に良く分かんないからだ。
好きだけど…そう言う、恋愛とかってのは…違うと思った。

「そう…まだまだこれからだものね」
煙草に火を付けて、吸う姿を僕は、黙って見つめていた。