私は、ふと目が覚めた。
時間が気になって、手探りで暗闇の空間に手を伸ばして携帯を探す。
すると、冷たい機械的な感触が指先にじんわりと伝わって来たのだった。
それを掴むと携帯だと実感した、いつも使っている物だから目をつむっていてもわかった。
まだ完全に覚めきってない頭で携帯を開くとディスプレイ画面の光が、とても眩しく感じて思わず目をつむった。
しばらくして、目が光に慣れて来ると、ようやくディスプレイ画面を直視することが出来るようになり始めた。
時計を見ると《4時》と表示されていた。いつも6時に起きているから、後残り2時間は眠れるはずだったが、今きっと眠ったら、起きれなくなるだろう…。
眠気は飛んでいき、目が覚めてしまった。私は、布団から起き上がった。
窓に近づき、カーテンに手を伸ばす。
シャー…と軽い音とともに、開かれいくと同時に、淡い光りが部屋に差し込む。
夜が明けて来たのだ。
全ての時が止まったかのような感覚に陥るほど、とても静かだった。
だんだん、空が明るくなって来ると小鳥たちも起き出して、可愛らしく鳴いている。《ゴンッ…》
鈍い音とともに、上から一直線に何かがベランダに落ちて行くのが見えた。
慌てて窓に近づき、身を乗り出して辺りを見渡すと、雀がコンクリートの床に倒れているのを見つけた。
雀に近づきしゃがんだ後、ソッと優しく手のひらに包み込むようにして持ち上げた。「大丈夫かな…」
ポツリと呟いた後、ベランダから部屋に戻ってタオルを、それを雀に包み込むように、くるめた。
しばらく様子を見ていると、微かに暖かみが増して来たような気がする。
「よしよし頑張れよ」
人差し指で、優しく頭を撫でてやると、それに答えるかのように雀は目をパチッと開けた。
《チチチ…》
まばたきをして、私を見つめる。
「良かった…さっき貴方、此処の窓ガラスにぶつかって、ベランダに倒れていたのよ…?」
《チチチ》
答えるように、雀は鳴いた。
「大丈夫よ、安心して。私は危害なんか加えるつもりはないわ」
ニッコリ微笑んで雀を見つめた。
《チ》
バタバタと、羽をばたつかせている。
立ち上がると、窓を開けて雀に言った。
「さぁ、自分の住む世界に帰りなさい」
《チチチ》バササと、羽ばたかせて外に飛んで行った…