少し言い合いをしている
林田くんと和羅くんは
ほっといて一人テレビを
見ている潤くんの横に座った。


「アタシ、どーすれば
いいんでしょーか…」

アタシの足下に寄ってきた
子犬を抱き上げた。



「…さぁ、僕は知らない」


潤くんの一人称は
顔に似合った“僕”のようだ。



「だよね…
潤くんは中学生だよね?」


「…そーだよ」


目はテレビから一度も
離れる事なく答える。



「神崎くん、どうしたの?」

「…寝てる」


そうか、あちらは
寝室みたいな部屋か。



「困った…
アタシ、帰るべきか、
でもワンちゃんは結局
どーなったのかなぁ…」


「ワンッ!!」


元気に吠える子犬。




「…アンタんチは?」


初めての潤くんからの質問だった。



「ウチはダメなの…
お母さんアレルギーで…」


「…ふーん」

この時、ずっとテレビに
視線を向けていた潤くんと
やっと目が合った。