階段を上り終えると、
神崎くんは奥のドアを開けた。



中は大きな液晶テレビに
テーブル、ソファー、棚。


シンプルで大きい部屋だった。




「ぁ、何でソイツいんの?」



横から声がして視線を向けると、
林田くんが立っていた。



「あと何だソノ子犬」

子犬を指差す林田くん。



「拾った」

それだけ言うと神崎くんは
抱いていた犬を床におろした。


子犬は初めて来た家に
少し興奮気味の様子。



「藤…藤木?藤田…か。
おぃ、藤田!!おめー何で来たんだ?」



おいおい…

「藤原ですけどね!!」



「…は?んなの、知らねーよ!!」


知っとけ!!!


「俺が連れて来た」

神崎くんが林田くんに言うと
林田くんは「趣味悪いぞ碧唯」と
笑いながらソファーに座った。



失礼だな。



「趣味悪いって言われちゃった」

神崎くんは軽く笑ってアタシを見た



いやいや、あの
軽く笑わないで!!

アタシが惨めだから。



テレビを見始めた
林田くんを睨んでいると…