だけど、
神崎くんは不良だった。
バキッ
ボコッ
次々、倒れていく男の人たち。
血が出ていて辛そうに倒れている。
「さすが碧唯さん!!」
お兄さんは尊敬の眼差しで
神崎くんを見つめている。
アタシッ、アタシは…
「大丈夫?」
神崎くんがアタシの頬に
触れようとした時に、
ビクッ
アタシは肩を揺らしてしまった。
だって神崎くんの手は
血で染まっていたから。
神崎くんはアタシに
触れようとした手を寸前で止めて
涙が必死に溜まるアタシを
とても悲しそうな顔で見て
アタシの横を通り過ぎて行った。
いつもなら、
『送るよ』
とか言うのに。