人気者の先輩と家路を共にするなんて。

明日から学校行けなくなる。

「奈瑠。手ぇ出してみ」

手を出すと

チャリっ

「あっコレ!!」

入学式前日からなくしていたキーホルダーだった。

波留ちゃんとお揃いのキャラクター入りキーホルダーだ。

「落とし物。これ、奈瑠のだろ?」

「…ありがとうございます」

「大事にしろよ?って奈瑠!?」

「へ?」

知らないうちに泣いていた。

暗くて、怖くて。

あの人の腕に包まれていたトキは怖さも忘れていた。

泣くなよ。

少し困り気味のあの人は私の肩に腕を回した。