息苦しい沈黙だ。

校門をでて、少し歩いたところ、周りの人が少なくなってきた。

彼女は、急に後ろを振り返って話だした。

「私の名前は、倉石ひとみ。有川さん、あなたに確かめたいことがあるの。」

顔が真剣そのものだ。
わたしは、考えつく限りの悪いことを考えていた。

何かしたっけ?わたし、何かに巻き込まれたのかな?

不安になり、朋子に助けを求めた。朋子は、黙ったまま、倉石ひとみさんを見ている。

「あなた、今度海辺の花火大会に田中俊くんと一緒に行くのは本当のことなの?」彼女は、そういって、腕組した。

わたしは、びっくりした。どこからそんな噂を聞いたのか。

何より、同じ中学でなかった倉石さんの口から、田中俊の名前がでてくるなんて。

しばらく、黙ったまま立ち尽くすわたしの代わりに朋子が口を開いた。

「それ、誰に聞いたの?」朋子も驚いた顔をしている。

「ちょっとね、じゃあ本当に行くんだ。いつから、付き合ってるの?」