わたしの席は、五十音順で一番前だった。

「見られたか。途中で眠くなっちゃって。」わたしは、恥ずかしくなり少しうつ向き加減で、廊下を歩いた。そしたら、トイレを通り越そうとして朋子に止められてしまった。

トイレに入るが、中は混んでいた。みんな、テストに集中するあまり我慢していたにちがいない。

女の子は、大変なのだ、この時ばかりは、男子がうらやましく思う。
わたしと朋子は、鏡の前にたって並んだ。

鏡ごしに朋子が話しかけてくる。

「花火大会、浴衣着ていく?」

わたしは、毎年着ていくのが楽しみだった。
けど、今年は・・
「わたし、今年着るのやめようと思ってる。着るのに時間かかるし、暑いしさ。」

わたしは、男の人に免疫がうすかった。変に意識している自分に気づく。

でもそれは、わたしの勝手な独りよがりで、わたしだけ過剰に周りを意識していた。

そして、誰もわたしのことを意識する人がいないのにだ。

まったくどうしようもなくタチが悪かった。