しゃがみ込んで、泥を素手でかきだしているようだ。

姉の背中が邪魔をして、泥からかきだしているものが見えない。

姉が何か引っ張っている。

突然、姉が立ち上がった。姉は、後ろを振り返り、泥のついた左手で手招きしている。

右手に取り出したものを持っているようだったが、ここからは、全然みえない。

わたしは、パジャマを着ていることも忘れ、二階をかけおりた。

玄関で、長靴をはいて家をでる。

外にでてみると、日差しの強さに一瞬立ちくらみがする。どこかからヘドロの臭いがしたけれど、わたしは、息を飲んで、姉が呼んでいる方に急いで走った。

「藍子、あぶないよ。ゆっくりおいで。」
姉は、心配そうにこちらを見ている。

「何だったの?宝物」わたしは、息を切らしながら、姉に近づいた。

姉がこちらを振り返った。手には、人間の赤ん坊くらいの大きさもある人形を持っていた。

青い着物を着ていて、帯が金色に光っている。