家の一階に、水が入って来ないように砂袋を、必死に詰めていた。
だけど、水の流れは、恐ろしいくらいすごくて、わたしたち家族は、とうとう避難することになった。

とにかく、大事なものだけを持ち出そう決めたわたしは、2階の自分の部屋まで、走って向かった。

お姉ちゃんが一緒についてきてくれた。

危険な事だった。とにかく、時間がなかったし、逃げ遅れれば、死んでいたかもしれない。

一階で、両親が荷物をカバンに投げ入れている。
「一分で下りてくるのよ。友里、藍子を急がせて。」

お母さんが叫び声をあげている。

「もう、ダメ。二人とも下りてきて。」

わたしは、少ないおこずかいで買ったマンガ本と絵の具セットを持ち出したかった。

外は、まだ、昼なのに暗かった。電気をつけようとしてもつかない。
「お姉ちゃん、部屋が暗い。」このままだとよく見えずに、探せなかった。

「そんな時間ない。逃げなきゃ。」