空気を思いきり吸い込む。辺り一面、緑のやさしい匂いがした。

なんだか、心が落ち着いていくのを感じていく。
田んぼには、稲が少しだけ伸びて、風に揺れていた。

前後左右どこみても、稲の海原という感じだろうか。きっと、うんざりする人もいるだろうな。
わたしは、こういう環境の中、生きていくのは、自分にあっていると思った。つまり、根っからの田舎人だった。そんなことを考えながら、散歩道を歩き続けた。

もう少し、先を歩いたら、小川に到着する。

橋も、すぐそこに見えていた。
田んぼに、挟まれたこの小川。昔から、台風が来ると、すぐ増水して氾濫をおこしていた。溢れでた水は、小さい橋をすぐ呑み込んでしまい、被害を多くだしていたようだ。

そのため、頑丈な橋を架けておけば、川から流れてきた木や岩などせき止めてしまう。

そうなるのを防ぐ為に、敢えて、川に流されてもいいような簡素な造りをしている橋がかかってあった。