わたしは、思わず下を向いてしまう。

すると、姉が「藍子、あんた、和を乱すようなこと言ってないよね。」と、鋭い目つきを向けながらいった。

「田中俊って、苦手な人なんだよ。ろくに話したことないんだよ。」わたしは、必死に抵抗した。
朋子と姉。
二人が組めば、わたしは、完全に不利な状態になってしまう。

今回、もう一人行く人物が田中俊でなければ、わたしも問題なかったのに。

花火大会の間、朋子は、先輩と二人で並んで歩いたり、話したり、するだろう。

わたしは、想像した。その間、わたしは、何をしていればいいだろうか。

きっと、一人だまり込んでしまう。昔から、男子とうまくはなせないし、苦手だった。
こんな雰囲気。

「もっと、気楽に考えたら。」

姉が、朋子の溶けたアイスを、食べながらいった。

「青春は、二度と帰って来ないよ。」妙にしんみりして、話した。

そういって、口のまわりをアイスクリームだらけにして、わたしの部屋を出ていった。

まったく、子供みたい。そう思いながら、お姉ちゃんが出ていったドアを見ていた。

気楽にか・・。考えてみれば、朋子にとって、花火大会は、チャンスなのだ。

いつも、応援するといっていたのに。