空間内は瞬時に粉末で満たされ、ハムおじさんは顔に多量の小麦粉を浴びて、顔を僕から背けた。
怯んだ隙を見計らって後ろに回り込み、チョークスリーパーで再び首を絞める。
フッと右手の力が抜けた。
見ると僕の右腕は切断され、傷口からはフレッシュな鮮血が蛇口のごとく噴出していた。
形勢は逆転し、僕はテーブルに押し倒され、ハムおじさんは僕の上に馬乗りになった。
ハムおじさんは目を血走らせながら、握りしめた包丁を僕の心臓に振り下ろす。
そんな時だった。
そんな絶望的な状況の中で、僕はまったく別のことを考えていた。
この町のみんなは本当に優しい。
僕は人でもなく動物でもない。
そんな得体のしれない僕を、みんなと同じように学校に通わせてくれた。
共に歩む仲間として扱ってくれた。
だからみんなの愛に応えたい。
僕はみんなを守りたい。
だって僕はハムパンマン。
みんなに頼りにされるのが嬉しくて、みんなの為に働くことが生きがいだ。
みんなの為になるのなら・・・・自分の命は惜しくない。
ハムおじさんが僕の胸に包丁を突き立てた頃。
テーブルに置いてあるライターに手を伸ばす。
そして小麦粉の粉塵が高密度に飛び交うこの密室で。
僕はライターに火をつけた。
END
最後までお読みいただきありがとうございます。
最後どうなったの!?と思われた方は、ネットで『粉塵爆発』と調べてください。
決してやったら駄目ですよ。
死にます。
ハムおじさんの犯行の動機は、大きく分けて二つ。
一つは人類を滅ぼされた復讐。
もう一つは純粋な食欲ですね。
ちなみに作者がこの作品で一番気に入っているのは、スキンちゃんというネーミングです。
スキンとはコンドームのことです。今はあんまり言わないけど。
この作品を通じて、作者がいかにイカレてるかがわかっていただけたら幸いです。
感想お待ちしてます。
ありがとうございました。