窓から夕日が見える。そろそろ、家事用人達が夕ご飯の準備を始める時間だろう。

 石造の床に、グローヴァー家の象徴色である黄色の絨毯が敷かれている。グローヴァー家は、シュヴァルツ三大貴族に数えられる名家なのだ。

 その名家であるグローヴァー家令息のルイスは、彼の父レナートに呼ばれていた。グローヴァー家の一室にあるソファーで、ルイスは腕組みをしながら待っていた。呼ばれていた張本人であるルイスは、苛立ちを隠せなかった。

 幾つかの時が経った頃だった。ソファーの向かい側にあるドアが開く。中からグローヴァー家領主であるルイスの父レナートと、ルイスの継母が並んで部屋に入って来た。

「呼び出したくせに、当の本人様は遅いじゃん」

 二人が入って来るや、ルイスはそう言い捨てる。その様な言葉を見る限り、かなりの時間を父達を待つ為に使ったようだ。