「サラ様、ルイス様!」

 俺の家に住む家臣が俺と母様の寝室に入り、女を取り囲む。次いで入って来た家事用人が俺の前に立ち塞がり、女から俺を守ろうとした。

 続々と沢山の人達が部屋に入って来て、遂に女は取り押さえられた。母様が殺された事を知った手伝いの者達はその場に立ちすくんだり、泣いたりしていた。

 徐々に平然を取り戻したけど、母様を亡くした悲しさとハーフファイリーへの怒りは込み上げるばかりだ。

 時間が経つにつれ増えていっている。それは、七年の月日を得ても消える事はなかった。

 俺は自分に構ってくれる事のない父親や、母様が亡くなってすぐに父親に嫁いだ継母も、俺には向けられる事のない愛情を得ている弟も皆大嫌いだ。

 だけど、一番大嫌いなのは、俺の母様を殺したハーフファイリーだ。ハーフファイリーなんか、いなくなってしまえば良いのに。