自分の夢にようやく近付いたというのに、人生は上手くいかないものだ。そうルイスの頭に、何度も過ぎ去った事だろう。

 折角、自分の部屋にわざわざ作った抜け道を通り、その途中で出くわしたイオンを説得してスピナッチの闘技場へ来たというのに、ここで閉ざされてしまうのか。

 目の前に、家やら王やらの理由で無理矢理決められた婚姻者であるエイミーがいる。まだ朝方だというのに、何故彼女がいるのだろうか。

 豪華な貴婦人服を身に纏いながらの立ち振る舞い等、高貴の雰囲気を放つ少女。その少女は婚約者であるルイス、そしてその家来であるイオンの方を向く。

「ルイス様、今日は素晴らしい朝ですわね」

 と、エイミーは笑顔を作りルイスと挨拶を交わそうとする。エイミーにとっては、確かに素晴らしい日であろう。