「何で、エイミーがここに……」

 その言葉を聞き、イオンは再び背後を見る。エイミーという少女は確か、ルイスが屋敷を抜け出す理由の一つだったではないか。その理由になった張本人が、まさかスピナッチで会う事になるとは。

 ルイスとイオンがあたふたしていると、彼女は自分達に気付いたのかこちらへ向かって来た。それはもう、凄い勢いで。

「あら、ルイス様。奇遇ですわね」

 エイミーはそう言い、微笑を交わす。深い青色の瞳が、ルイスを離さない。

「どうして、お前が此所にいるんだよ!」

 絶望の淵からの、ルイスの言葉。まさに、これこそ一難去ってまた一難。