沢山ある武器の中で、イオンが手に取ったのは二本の片刃剣だった。同じ型の剣を見比べるイオンの瞳は、何処か輝いて見える。

「そっか。イオンは俺と一緒に屋敷を出た時、カイさんに剣術を教えて貰ってたんだっけ」

 カイとは、ルイスがいつも師匠と呼んでいる人物で、格闘技は勿論の事だが、剣術でもかなりの腕を持つ青年である。

 そのカイという青年は面倒見がよく、母やイオンに次いでルイスが信頼を置ける人物でもあるのだ。

「では、この剣にしましょう」

 買う物を決めたのか、イオンは店主に銀貨を数枚渡す。お釣である数枚の銅貨を店主がイオンに渡すと、イオンは買ったばかりの剣達を、嬉しそうに持ち構える。

「あれ、何で同じの二本も買ったんだ?」

 双剣をおまけで貰った鞘に入れるイオンに、ルイスは疑問を投げ掛ける。確かに、同じ型の剣を二本も買うのは不思議かつ疑問だ。