高校生になったところで何も変わらねぇ。

クラスメートも当たり前だが同じで新顔がいるはずもない。



「―――…はぁぁ……」


「…何?また人の顔見てため息吐いて…」


「別に。……あ、相変わらずブスだと思っただけだよ。」



教室の窓際の一番後ろ。

それが千鶴の席。

ちなみに俺は窓際の後ろから二番目。
千鶴とこうして話すのも日常のヒトコマでしかないけど嬉しい日常でもある。



「本当……失礼な奴。」



普段は掛けない眼鏡を掛けて本を読む千鶴。

開けっ放しの窓から入ってくる春風は千鶴の長い髪を揺らして遊んでいる。



「あ、そうだ。パパがね?今日ご飯うちで食べなさいって。」


「あ?あー、わかった。」



こうしてたまに夕飯を食べさせてくれる千鶴の父親、親父さんは本当の息子みたいに俺を可愛がってくれるんだよな。



「今日は悠希の好きなハンバーグですよーって。」


「ハンバーグなんて大嫌いだよ!」



俺が大嫌いだと言っても千鶴はヘラリと笑ってくれる。



「悠希の大嫌いは大好き、でしょ?」



そう、君は俺の最高の理解者。