「砕けたら私が慰めてあげるからさ、伝えてみなよ。」
日向の優しさはすごくよくわかるんだよ?
でもね…、今の関係を壊すのはやっぱり怖いんだ。
私は少し後ろを歩いている悠希と順平を見た。
「告白して壊れるような柔い関係じゃないじゃん。
後先ばっか考えてたら何も変わらないよ。」
日向が異様に大人に見えてしまった。
確かに後先ばっかり考えてたら何もできないのかもしれないし、何も変わらないのかもしれない。
日向の言うように私と悠希の関係はそんなに柔い関係じゃないのかもしれない。
――…だけど、やっぱり怖い。
「…あーもう!ウジウジしてるな!女は度胸!さっさと行け!」
ドンっと押されて前にではなく、悠希のいる後ろに一歩を踏み出した私。
怪訝そうに見る悠希に腰が引けて踵を返したくなる。
だけど、後ろには日向がいて踵を返すに返せない。
「何してんだ、お前。」
「え……あの、…」
呆れたような声に少し泣きたくなった。
言うのが…伝えるのが怖い。
それでも、伝えなきゃ何も始まらないし終わらないんだ。
「あ…あのねっ…私…」
「言いたい事ははっきり言えば?」
「………き…。」
後込みしてしまうのは悠希のせいなんかじゃなくて、ただ私が小心者なだけ。
「…なに?聞こえな」
「私、悠希が好きなのっ!」
自分でも驚くくらいに大きな声で告白していた。
悠希も悠希と一緒にいた順平も、口をぽかんと開けたまま動かない。
ただ、後ろにいる日向だけは満足そうに笑っていた。
…………気がする。