母の家に戻り、翌日佐藤さんと二人で母の家の整理をしていた時の事。


母のビデオデッキの中に、父と結婚した時のビデオテープが入っていた。


他にも父との思い出の写真が沢山押入れのすぐ見える場所に置かれていた。


それを見て、母は本当は父を愛していて、そして父に愛を求めていたんだろうと思わされた。


ベッドの下からは母の書いたいくつもの日記が出てきた。


そこには


寂しい
苦しい
辛い
死にたい



そんな、悲しい言葉ばかりが並んでいた。



そして

もうひとつ



『さえこごめんね』


何も書いていない一番最後のページの隅にそう書かれていた。


どんな想いで書いたのか、見た途端に涙が溢れて止まらなかった。


母からの最初で最期の手紙。

そこに愛があったのだと信じたい。



『お母さん、私もごめんね』



姿のない母に手を合わせる事でしか想いを伝えられなかった。