「お母さん…大丈夫?」



母はもう返事する気力もなかった。首を横に振り、うっすら目を開けさせられているような状態だった。



「お母さん聞こえてる?」



母は首を縦に振る。



「どこかさすろうか?」



母のベッドに座り、ベッドを起こして母を座らせ背中を擦る。



「お母さん何か食べたいものない?」



母は何も答えない。



「きつい?」


「お母さん?」



母の顔を覗くと母は口を動かして何か言っていた。



「何?」


思うように出ない声をどうにか聞きとろうと耳を近づけた。



「う・れ・し・い・ん・で・しょ」


「何が?」


「わ・た・し・が・びょ・うきに・なって」



母はこんなになってまでもそんな事を言った。