母は眠っていた。


その姿を見て正直ホッとした。
何も変わっていなかったから。


髪の毛もある。むくんでもいない。


繋がれているのだって点滴1本だけ。



よかった。


そう思った時母が目を開ける。



「…なんでここにあんたがいるの?」



母は額に腕をあて顔を隠し目を逸らす。



「おばさんに聞いたから帰ってきた」



「あっそ」



「…なんで言ってくれなかったの」



そう聞くと母は私に顔を向ける。


「笑われたくなかったからよ」