「付き合う前から他に付き合っている人がいる」


「二股でいいならいいよ。向こうはそれでもいいって言ってるから。」



彼の口からは次々と信じられない言葉が出てくる。



「私は…いいや…」



反論する気力などなく受話器を置いた。


初めて付き合う彼氏に二股されていたなんて。


私って何?

こういうのが遊ばれてたって言うの?


突然の想定外の事態だったからか
実感がうまく湧かず
涙も出なかった。



翌日、学校ですれ違った彼は普通におはようと声をかけてくる。


知らん顔をしたいと思っても
出来なかったのはまだ彼に心があったから。



付き合った期間が短い分、すぐに忘れられると自分を励ました。


浅い傷で済むと思っていた。