中でも１匹すごく大人しい子犬がいた。


薄い茶色の小さなチワワだった。


ずっとふせたまま大きな瞳で私の方を見ていて、その目がすごく悲しそうに見えた。


暫く見ていると店員がそのチワワをショーケースから出してしまい、もう少し見たかったなと惜しんでいると、店員は私の前にそのチワワを連れてきてくれた。



「どうぞ、抱っこしてあげてください」



店員からチワワを受取り腕に抱えた。


震える体にそっと手をやり撫でていると店員が突然説明を始めた。


「ワクチンはもう２回うってますし、ご飯の方は専用の物をあげていただければ…」



きっと私がこのわんちゃんを飼うとこの店員さんは勘違いしている。と思い慌てて否定した。すると店員は



「あっすみません。あちらの方とご一緒の方じゃないんですかね？」


そう言って店員が向けた手の方を見るとサークルや犬用のご飯を買っている佐藤さんがいた。