「いや本当だって」


煙草の火を消したばかりなのに佐藤さんはまた新しい煙草に火をつける。


「はいはい、わかったから。じゃあなんで私に告白したの?っていうか私のどこがすきなの?」


「いやどこがって言われてもね」


「何それ。そんなので本当に好きって言えるの?」


「いやいや好きだよ。なんか好きなんだよ。」


「何それ」


「それなら聞くけど。さえこちゃんは今まで付き合った人のどこが好きで付き合ったの?」



「それは色々でしょ。顔とか、声とか?あとは…」


逆に聞かれてみると答えられなかった。



「ほら。いや確かにね、顔も声も好きだよ。でも何か、わかる?雰囲気というか何というか…一緒にいたら幸せなんだよ」


真剣に言う佐藤さんの言葉に私はクスリと声を漏らした。


「言う事くさい」


「そっちが話振ってきたんだろ」


暗闇の中でも、その声で佐藤さんが照れている事がわかった。