嫌々番号を交換すると、すぐに家に帰った。

家に帰ってからも苛立ちが落ち着かず、なかなか寝付けなかった。


この半年程でとても良くなっていた佐藤さんの印象が、たったこの数時間で破壊されていた。



次の日の朝。

この日は私も佐藤さんも休みで、早速佐藤さんから早朝電話が鳴った。



「今から出かけるから準備して」


有無を言わさず電話を切られ、私は嫌々ながらもベッドから体を離した。


お昼前に佐藤さんが迎えに来て向かった先はパチンコ。


「なんでパチンコ?」


ろくにギャンブルをしたことがない私はその場へ自ら足を運んだことは過去に一度もなかった。



「俺負けたことないんだよ」


「別に一人で行けばいいじゃん」


「勝たせてやる」


「負けるよ。私勝負運ないから」



私と並んで2つの席を取ると、佐藤さんは「軍資金」と言って私に3万円を渡した。



「それ、いくらになると思う?」


「なくなっちゃうって」


絶対負けると思っていた。