「ごめんごめん!」



「もう。遅いですよ」



私が笑顔を見せると佐藤さんは車から降りて助手席のドアを開けてくれた。



「とりあえず乗って」



助手席に座ると佐藤さんが私の携帯を差し出し
それを取ろうとした時に軽く手が触れた。
その手の冷たさに驚いて、しつこいくらいに何度も謝られた。



「俺方向音痴でさ。コンビニとかで聞いたんだけどそれでもわからなくて」



「大丈夫ですよ。ありがとうございます」



暖房の効いた車の中に数分もいれば、もう感覚を取り戻していた。