10分、20分。30分経っても佐藤さんは現れない。


何かあったのかと大きな通りにまで出てみたが、通る車は少なく、見覚えのある車は通らない。



それでも、来ると言っていたのは確かなんだからと待ち続けた。


冷え込む寒さに耐え切れず、道端に座り込みなるべく風に触れまいと袖の奥に手を引っ込めてみたり、足をコートで被ったりしていた。


待ち続けて2時間。

つま先から指先までが体の芯から冷え切り、軋んだ感覚を覚えた足を動かし家に戻ろうと思った時。
私の目の前に黒いセダンが停まった。