バイト先で毎日佐藤さんと昼食を食べるようになってもうすぐ半年が過ぎようとしていた。


それは調度、バレンタインの季節だった。


私は親が仕事でいない隙に、祖母と二人でお店のみんな用にケーキを焼き、毎日昼食を作ってもらっているからとのお礼も兼ね、佐藤さんの分を一人分だけ分けて作っていた。


休日だったその日の夜。お店が落ち着いた頃にケーキを持って訪ねた。


喜んでくれるみんなの顔を見て、少しだけくだらない話をして家に戻る。


お風呂に入り、雑誌を読んでそろそろ寝ようとベッドに入ったのは思ったのは深夜の１２時頃。


こんな時間に鳴るはずのない家の電話が鳴り、私は慌ててリビングへ行き受話器を取った。



「もしもし」



その声は聞きなれた低い声。