「勿体ないよ、こんなにいい所なのに」


閉まっていたカーテンを開けて外の景色を覗いた。


そこからはコウの家がすごく近くに見えて、あの日の事を思い出していた。


「この近くに前付き合ってた人が住んでるんだ」


「元彼?」


「うん、好きだったけどフラれちゃった。ほら、あそこわかる?公衆電話があるとこ」



窓の外を指さして言うと淳は「うんうん」と隣から外を覗く。



「あそこで好きな人ができたって言われた時はね…」


カーテンを閉めて窓を背もたれにして淳と並んで座った。


「まだ好きなの?」


「ううん。もう好きじゃない。けど、少し気になる。今何してるのかなーとかは思うし」


「…なんかごめん、俺嫌な所に連れてきてしまったね」


「いや私がごめん!勝手に語って。あ、でも別に大丈夫だからあんまり気にしないで」


慌てて否定する私に淳はわかったと正面を向いたまま頷いた。